はじめに
AWS CodeCommitは、AWSが提供するフルマネージドのGitリポジトリサービスです。
Gitを使ったことがある方なら、基本的な操作には慣れていると思いますが、CodeCommitはAWSの他のサービスと統合することができ、AWS上でのソースコード管理やCI/CDパイプラインの一部として非常に便利です。
※2024年7月25日をもって、新規AWSアカウントではCodeCommitリポジトリを作成できない制約が追加されました。
この記事では、CodeCommitの基本的な使い方を紹介しつつ、代替手段や他のAWSサービスとの連携についても解説します。
注意事項：CodeCommitが新規アカウントでは作成できない
2024年7月25日以降、新規AWSアカウントでは、CodeCommitリポジトリの新規作成が制限されています。
そのため、次のような代替手段を考慮する必要があります。
GitHubやGitLab
AWS CodePipelineなどの他のAWSサービスと容易に統合できるため、CodeCommitの代わりにGitHubやGitLabを使う選択肢があります。
AWSはこれらのプラットフォームをサポートしており、パイプラインの構築やデプロイも簡単です。
Bitbucket
同様に、Gitをホスティングできるプラットフォームで、CodeCommitの代替として利用可能です。
CodeCommitの基本操作
CodeCommitを利用するには、リポジトリを作成し、ローカル環境でGitを設定する必要があります。以下に、基本的な操作を紹介します。
CodeCommitリポジトリの作成
既存のAWSアカウントでCodeCommitリポジトリを作成する場合は、次の手順を使用します。
AWSマネジメントコンソールにログインし、CodeCommitのダッシュボードにアクセスします。
「リポジトリの作成」を選択し、リポジトリ名を入力して作成します。
リポジトリのクローン
CodeCommitリポジトリをローカルにクローンするには、HTTPSまたはSSHを使用します。
IAMユーザーとして認証を行う必要があるため、事前にAWS CLIまたはGitのクレデンシャルヘルパーを設定することが推奨されます。
git clone https://git-codecommit.ap-northeast-1.amazonaws.com/v1/repos/【リポジトリ名】
こちらの記事でHTTPSで接続する手順を紹介しています。
2024-11-08-00:05
AWS CodeCommitにIAMユーザー認証でHTTPS接続する方法
コミットとプッシュ
一般的なGit操作と同様に、以下のようにコミットとプッシュを行います。
git add .
git commit -m "Initial commit"
git push origin main
他のAWSサービスとの連携
CodeCommitは、AWS上でソースコードを管理するためのGitリポジトリサービスですが、開発の自動化を進めるには、CodeBuildやCodeDeployとの連携が重要です。
これらのサービスを組み合わせることで、継続的インテグレーション（CI）や継続的デプロイ（CD）を効率的に実現できます。
以下では、CodeCommitとこれらのサービスの関係について解説します。
CodeBuildとの連携
AWS CodeBuildは、ビルド、テスト、そしてソースコードのコンパイルを自動で行うサービスです。
CodeCommitにプッシュされた変更をトリガーにして、CodeBuildがビルドプロセスを実行できます。
利用シナリオ
例えば、CodeCommitにソースコードをプッシュするたびに、自動的にユニットテストやコンパイルが実行され、ビルド済みのアーティファクトが生成されます。
EventBridgeとの連携
CodeCommitに変更があった際にEventBridgeでイベントをキャッチし、そのイベントをトリガーにCodeBuildのビルドプロジェクトを実行することが可能です。
手順概要
①CodeCommitにリポジトリを作成し、コードをプッシュ。
②EventBridgeを設定してCodeCommitの変更を監視。
③EventBridgeのイベントをトリガーに、CodeBuildプロジェクトを実行。
④CodeBuildがコードをビルドし、アーティファクトを生成。
CodeDeployとの連携
AWS CodeDeployは、アプリケーションを様々なコンピュートサービス（EC2、Lambda、ECSなど）に自動的にデプロイするためのサービスです。
CodeCommitに変更が加わると、CodeDeployを使って自動でアプリケーションのデプロイを進めることができます。
利用シナリオ
ビルドされたアーティファクトをEC2インスタンスやLambda関数にデプロイする場合、CodeDeployがそのプロセスを自動化します。
CodeCommitに新しいコードがプッシュされたら、CodeBuildがビルドを行い、その結果をCodeDeployが取得してデプロイします。
パイプラインの流れ
CodeCommit → CodeBuild → CodeDeploy の連携が基本的な流れです。
これにより、CodeCommitにプッシュした後、ビルドとデプロイが自動で行われるCI/CDパイプラインが構築されます。
CodePipelineを使用した統合
CodeCommit、CodeBuild、CodeDeployを効率よく統合するために、AWS CodePipelineを使うことができます。
CodePipelineは、これらのサービスを組み合わせてCI/CDパイプラインを構築するためのサービスで、次のような自動化の流れを作れます。
①CodeCommit: ソースコードがプッシュされる。
②CodeBuild: ソースコードのビルドとテストが自動で実行される。
③CodeDeploy: ビルドされたアーティファクトが指定の環境にデプロイされる。
このパイプラインを使うことで、ソースコードの変更からデプロイまでを自動化でき、開発・デプロイプロセスの効率を大幅に向上させることが可能です。
まとめ
CodeCommitはGitリポジトリを管理するAWSのサービスですが、新規アカウントでの作成ができないため、GitHubやGitLabなどの代替サービスを利用するのも一つの手です。
また、CodePipelineやCodeBuild、CodeDeployとの連携により、AWS上での自動化が非常に強力になるため、AWSエコシステムをフル活用したい方には非常に有効なツールです。
